🐾 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)をご存知ですか?|井上動物病院
こんにちは!
近年ニュースでよく耳にするようになった、SFTSをご存知ですか?
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは、マダニが媒介するウイルス感染症(人獣共通感染症)です。
年々感染数が増加しており、発症した場合の致死率の高さから警戒が必要な感染症のひとつです。
今回はSFTSの症状や注意点、予防について解説していきます。
SFTSとは?
正式名称:重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)
原因:SFTSウイルス
媒介:マダニ(草むら・山・畑などに生息)
感染経路
・マダニに咬まれて感染
・感染した犬や猫に咬まれたり、血液や体液との接触して感染
・人から人への感染報告もあり
犬・猫に見られる症状
犬や猫がSFTSに感染した場合、以下のような症状が出ることがあります。
・発熱
・元気消失
・食欲不振
・嘔吐・下痢
・黄疸(皮膚や目が黄色くなる)
猫で発症後の致死率は 60%前後と高く、重症例では急速に状態が悪化し数日で亡くなる場合が多いとされています。
屋外に出る子や自然の多い場所で過ごす子は感染リスクが高いです。
犬の場合はSFTSウイルスに感染しても、症状を示さない不顕性感染の場合が多いとされています。
しかし発症した場合には致死率40%以上と高いため、散歩や排泄等で外に出る子で注意が必要です。
人での症状
人が感染すると、以下のような症状が出ます。
・発熱
・倦怠感
・筋肉痛
・下痢・嘔吐
・出血傾向
・意識障害などの神経症状(重症例)
人での症状は風邪や他の感染症と似ているため、診断が難しい場合があります。
患者は60代以上が多くを占めていますが、20代での感染も報告されているため、
キャンプなど野外でマダニに刺される可能性がある場合は十分注意が必要となります。
致死率は27%と犬猫と比較してやや低いです。
飼い主様にできる感染対策
・犬・猫には 動物病院処方のマダニ予防薬 を使用する
(市販のマダニ予防薬では効果が不十分な場合があります)
・草むら、やぶへの散歩・外出はできるだけ避ける
・散歩や外出後には 体をよくチェックし、マダニが付いていないか確認する
・飼い主様ご自身も、散歩の際は長袖・長ズボンを着用するなど対策を取る
現在SFTSに対する有効なワクチンや特効薬はありません。
そのため、SFTSと診断された場合にはそれぞれの症状を和らげる対症療法が中心となります。
特効薬がない今、飼い主様にできる一番の感染対策は予防薬を使用することです。
もしものときは…
・犬や猫にマダニの付着を認めた場合は無理に剥がそうとせず、動物病院を受診してください。
無理に剥がすとマダニの口器が皮膚の中に残り、炎症や化膿の原因になったり、
かえってウイルスが体内に注入されてしまう可能性があります。
・犬や猫が食欲不振や黄疸などSFTSを疑う症状を示した場合は、まずはお電話で動物病院へご相談ください。
院内の飼い主様や犬猫への感染拡大を防ぐため、感染対策を徹底した状況で診察を行わせていただきます。
・飼い主様自身も体調不良を感じた際は、速やかに医療機関を受診してください。
まとめ
SFTSは身近に存在するマダニが媒介するため、誰にとっても注意が必要な感染症です。
大切なペットとご家族の健康を守るために、 予防薬の使用と日常のチェック をぜひ習慣にしてください。
井上動物病院では、犬や猫に使用できるマダニ予防薬をご用意しております。
ご不安な点がありましたら、お気軽にご相談ください。